登場人物
瀬名涼葉:高等部一年生。容姿端麗で男子の告白を断り続けるクラスの「高嶺の花」。完璧なメイドを目指すが飛馬への素の感情の間で揺れ動く。

坂木飛馬:高等部一年生。主人公。瀬名涼葉と同じクラス。とある事情から、 瀬名涼葉を住み込みのメイドバイトとして雇うことになった。
本編(②の続き)
翌日の放課後、俺は校門を出たところで足を止めた。
スマホを取り出し、父の番号を呼び出す。昨夜の瀬名さんの独り言が朝からずっと頭に引っかかっていた。
契約。初めて。最後まで。
コール音が八回続いて、留守番電話に切り替わる。
「出ないか」
海外出張中なら時差もあるだろう。仕方なく通話を切り、次の番号をタップした。
田中さん。父の右腕であり、うちの執事だ。メイド契約の手配を一手に引き受けた人でもある。
「飛馬様、お久しぶりでございます。メイドのご様子はいかがでしょう」
「田中さん、その件でちょっと聞きたいことがあるんだけど。瀬名さんとの契約書の中身ってどうなってるの」
「契約書でございますか。家事全般に加え、旦那様からお伺いした特別条項がございますが」
特別条項。
なんだか怪しい言葉が飛び出した。
「具体的にどういう内容?」
「性的なご奉仕に関する取り決めでございます。特にお断りがなければ一日一回の性交渉を行うこと。避妊薬はこちらから提供し、体内への射精を受け入れること。いずれも旦那様のご指示に基づき、契約書の別添条項に記載の上、合意書を取り交わしております」
あの冗談が、ここまで具体的な契約書になっていたのか。
昨夜、暗闇の中で契約を口にしながら俺のペニスに唇を這わせていた瀬名さんの姿が脳裏にちらつく。

どうしてあんな条件を、瀬名さんが受け入れたのか。
「田中さん。瀬名さんは、それに対してどうなの」
「ご安心ください。採用にあたりましては徹底的に身辺調査をさせていただきました」
いや聞きたいのはそこじゃないが。
「瀬名様は申し分ございません。採用にあたり健康診断も受けていただいております。いくつかの感染症も含め、全項目問題ございませんでした」
「はあ」
「ただ、他の応募者と比較いたしますと、16歳という年齢、現役の高校生である点が懸念でございました。特別条項がございますので、万が一学校や当局に知られました場合のもみ消し……いえ、事後調整に相応のコストがかかるかと」
「今もみ消しって言った?」
「調整と申し上げました」
父の右腕というのは伊達じゃないらしい。というかそもそも、こんな非常識な契約を涼しい顔で取りまとめている時点でヤバさが垣間見える。
これが表沙汰になれば、瀬名さんは退学だろうし坂木家の醜聞にもなる。
まあおかげで俺が恩恵を受けているのだから、文句を言う筋合いもないのだけれど。
「あのさぁ。この変な契約、やけに手慣れてない? もしかして親父も家のメイドさんに同じような特別条項つけてたりする?」
田中さんにしては不自然なほどの沈黙が続いた。
……
――この続きは、支援者の方限定で公開しています。
こちらでお届けしている小説・イラストは、 ゆっきの活動を応援してくださっている支援者の方への、 感謝のしるしとしてご用意しているコンテンツです。
ゆっきを応援していただける方へ
ご支援を通じて、ゆっきの活動を応援していただけます。
ご支援いただいた方には、感謝のしるしとして、こちらのページのコンテンツをお楽しみいただけます。

コメント