そこまで聞いて、俺はソファの背もたれに深く沈み、天井を見上げた。
小学六年生の女の子が友人のセックスを一部始終見学し、その報告を俺は今まさに当事者から受けている。
どういう午後だよ。

「……ましろちゃん、すごいね。でも、詩乃ちゃんは結局しなかったんだ?」
「うん。怖くって、してないよ」
よし。
というか、正直もう経験済みだと言われたらショックを受けそうだ。
「逃げたのは正解だよ。知らない人と、そういうことする必要ないから」
「……うん」
詩乃ちゃんが小さく頷き、そしてまた口を開く。
「でもね、問題はそこじゃないの」
「え?」
詩乃ちゃんが顔を上げる。耳まで真っ赤で目が潤み唇が微かに震えている。何かを言おうとして言葉が出てこない。両手でスカートの裾を握りしめている。
「見てるとき体が、おかしくなった」
「おかしく?」
「お腹の奥が、すごく熱くなって。止まらなくて」
詩乃ちゃんの声がほとんど囁きになる。
「パンツが、濡れちゃって、今も……たぶん」
詩乃ちゃんは今にも泣きそうな……いや違う。恥ずかしさの限界に達している顔で、それでも俺を見ている。
「変、かな。わたし、おかしいのかな?」
「おかしくない」
声が掠れて咳払いをしてからもう一度言い直す。
「おかしくないよ。身体の反応としては……普通のことだから」
普通のこと。そう、普通のことだ。
「そうなの……?」
「うん。だから心配しなくていい」
「でも、どうすればいいの?」
詩乃ちゃんの声が小さくなる。追い詰められた子供の顔をしている。
俺の方こそどうすればいいのか。大人としては「我慢しなさい」と言うのが正解だろう。
でも今の詩乃ちゃんはそれじゃあ納得しそうにない。
「……蒼太さんが……してくれないの?」
心臓がドクンと跳ねる。
すぐに、じゃあ俺が、と言えるほど詩乃ちゃんとの関係は浅くない。
これまでずっと面倒を見てきた。だからこそ、慎重になってしまう。
しかし、返事を出来ないでいると詩乃ちゃんは思い詰めた表情を見せる。
「しのちゃん?」
「蒼太さんしか、いないの。蒼太さんじゃなきゃ……むりだよ」
その声はほとんど泣きそうだった。
つまりついさっき見た行為を俺にして欲しいとお願いされている。
嬉しい気持ちとダメだろという気持ちが両方ある状態で、言葉を絞り出す。
「わかった」

詩乃ちゃんをベッドに寝かせる。
「じゃあ、少しだけ、触るよ」
「……うん」
詩乃ちゃんの体がびくっと緊張する。
ベッドの上で向き直り詩乃ちゃんの正面に位置を取った。
手を伸ばしスカートをめくる。指先がショーツの縁に触れると薄い綿の生地越しに肌の熱が伝わってくる。

「脱がすよ」
詩乃ちゃんが小さく頷いて両手で顔を覆ったまま腰を浮かせてくれる。
ショーツを下ろすと濡れた布地が肌から剝がれるときかすかに糸を引いた。
頭の中が真っ白になりかける。
……
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