HAPPY ENDクリスマスに抱かれての続きです。①②③をお読みで無い方は、先にお読みになられることをオススメします。
登場人物
小日向 美緒(こひなた みお):高等部1年生。クリスマスの夜、SNSで知り合った男と初めて会う予定だったが、すっぽかされた。その後、三上と出会い、一晩を過ごす。
三上 和也(みかみかずや):主人公。真面目で誠実なサラリーマン。年齢は29歳。恋人に浮気され別れた後、クリスマスの夜に美緒と出会う。
————
年が明けた。
クリスマスイブの夜に美緒ちゃんと出会ってから、もう二週間が過ぎて仕事ももう始まった。
あの夜のことは夢じゃなかったと、毎日届くメッセージが証明してくれていた。
『おはようございます! 今日も寒いですー』
朝スマホを開くと、美緒ちゃんからの写真とメッセージが表示される。
添えられた猫のスタンプが妙に可愛い。
次はいつ会えるだろうか。
返事を打ちながら、自然と口元が緩む。

————
「三上ぃ、最近やけに上機嫌じゃない?」
オフィスに着くなり、隣のデスクの同僚——田中が声をかけてきた。
学生からの付き合いだ。
「そうか? 普通だけど」
「嘘つけよ。年末からずっとニヤニヤしてんぞ。彼女と別れて落ち込んでたのが嘘みたいだ」
田中は呆れ顔だが、口調には心配と好奇心が混じっている。
「いい人でもできたか? まさかJKとかじゃないだろうな?」
心臓が跳ね上がった。
当たっている。ど真ん中だ。
「な、なな、なんでそうなるんだよ?」
「いや、その動揺の仕方がもう答え合わせだから」
「違うからな!」
田中はニヤニヤしていたが、不意に表情を引き締めた。
「——冗談はさておき。ところでこれを見てくれ。こいつをどう思う?」
田中が休憩スペースに置いてある新聞を持ってきた。社会面を開き、ある記事を指差す。
『未成年とのわいせつ画像販売容疑、会社員の男を逮捕』
男の名前は——竹田。
「……竹田?」
俺は思わず声を出していた。
美緒ちゃんがクリスマスイブに会うはずだった、あの既婚男。アカウント名こそ違ったが、会話ログの中でそう本名を名乗っていたような?
あいつが逮捕された?
「知り合いか?」
「い、いや……同じ名前の人がいたなってだけだ」
背筋が凍る思いだった。
この記事に書かれている行為は俺がしたこととは違う。竹田は撮影や販売といった明確な罪を行っていた。
しかも、愛情もなく、なびく女の子がいれば手当たり次第だったようだ。
でも。
俺だって美緒ちゃんと関係を持った。法的に言えば、俺だって同じ側に立っている。
記事の中の「29歳の会社員」という年齢が、自分と重なって見えた。
「気をつけろよ。俺は冗談で言ったけど、もし本当にそういうことがあるなら——マジで人生終わるからな」
田中は茶化すのではなく、真剣な目で言った。
俺は黙って頷くしかなかった。
俺は竹田とは違う。美緒ちゃんを食い物にしたりなんかしない。
でも、世間から見れば同じに映るのかもしれない。
不安が胸の奥で冷たく渦を巻いた。
それでも——美緒ちゃんへの気持ちが変わることはない。
むしろ、この不安を感じるからこそ、中途半端ではいけないのだと強く感じたのだ。
だけど、この件において早々に追い込まれることを、まだ俺は知らなかった。
————
その日の夕方。仕事を終えてスマホを開くと、美緒ちゃんからメッセージが入っていた。
いつもの可愛らしいスタンプではなく、文面だけのシンプルなメッセージだ。
『三上さん、少し相談があります。電話しても大丈夫ですか?』
ただの相談にしては少し硬い。嫌な予感がした。
すぐに電話をかける。
「もしもし、美緒ちゃん?」
「あ、三上さん……ごめんなさい、急に」
声が震えている。
「どうしたの? 何かあった?」
「あの……お父さんに、バレそうなんです」

「え?」
背筋が伸びる。美緒ちゃんの父親——あのクリスマスイブの夜、「殺される」と言っていた、非常に厳しい父親だ。
「最近の私、態度が変わったみたいで……お父さんが、『何かあったのか』って。カマをかけてきてるっていうか……」
「具体的には何か言われたの?」
「『男ができたんじゃないだろうな』って」
……
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